内臓脂肪増加による「がん」の危険性

がん(悪性新生物)は、日本人の死因第一位。
「日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで亡くなっている」というデータが示すように
高い罹患率と死亡率を出している、恐ろしい病気です。

 

内臓脂肪の蓄積は、この恐ろしいがんのリスクをも増大させる要因となります。

 

 

内臓脂肪の増加・蓄積ががんリスクを高める理由

 

内臓脂肪の増加・蓄積が、がんリスクを高める理由は、
ずばり「アディポネクチンの減少」にあります。

 

ちなみにアディポネクチンというのは、
アディポサイトカイン(脂肪細胞から分泌される物質)の一種であり、
アディポサイトカインには善玉と悪玉があるのですが、アディポネクチンは善玉に該当します。

 

内臓脂肪の量が適切な範囲内であれば、アディポネクチンがしっかり分泌されますが、
内臓脂肪が多いと、アディポネクチンの分泌量が減ってしまい、
善玉のアディポネクチンが減ることで相対的に悪玉の割合が多くなるという、
アディポサイトカインバランスの乱れが生じてしまうのです。

 

アディポネクチンには「異変の予防・修復」の作用があり、
これががんの大きな原因である「DNA損傷による細胞増殖時のコピーエラー
=がん細胞発生」のリスクを大幅に軽減していると言われています。

 

逆に言えば、アディポネクチンが減ってしまうと、DNA損傷のリスクを減らせない分、
細胞のコピーエラー=がん細胞発生が起こりやすくなってしまう、というわけなのです。

 

 

アディポネクチンとがんリスクについての発表

 

アディポネクチンの量と、がんリスクの関連性を示すものしてはまず、
2006年7月に第61回日本消化器外科学会定期学術総会で北山丈二氏らが発表した
『脂肪細胞由来ホルモンアディポネクチンの胃癌治療への可能性』が挙げられます。

 

この発表の概要を簡単に言うと「健康な人のグループに比べて
胃がん患者グループは血中のアディポネクチン濃度が低かった」
「腫瘍があるマウスに、アディポネクチンを腫瘍内に連日で局所注入したところ
腫瘍の増大が有意に抑制された」といった内容となっています。

 

また、国立がん研究センターも2009年に
医学誌『アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション』において、
「内臓脂肪の体積が増加すると大腸腺腫(大腸がんに進行する可能性がある良性腫瘍)の
リスクが上昇する」という趣旨の発表をしています。